大判例

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福岡高等裁判所 平成2年(ネ)3号 判決

控訴人

藤本富栄

右訴訟代理人弁護士

德本サダ子

被控訴人

大田弘

被控訴人

小川和之

被控訴人

西嶋浩

被控訴人

熊倉正二

被控訴人

西博邦

被控訴人

岡居隆

被控訴人

荒川純治

被控訴人

坂本賢

被控訴人

株式会社大和銀行

右代表者代表取締役

安部川澄夫

右九名訴訟代理人弁護士

平岩新吾

牛場国雄

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴人は、「1 原判決を取り消す。2 被控訴人らは、控訴人に対し、各自金四〇〇〇万円及びこれに対する昭和五四年八月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決並びに2項につき執行宣言を求め、被控訴人らは、主文同旨の判決を求めた。

二  当事者の主張は、次のとおり加除し、改めるほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決五枚目表一二行目の「受診した。」(本誌五六〇号〈以下同じ〉75頁4段14行目)を「受診したが、九大病院では女子顔面黒皮症と症状名を診断された。」と改め、同裏二行目末尾(75頁4段19行目)の次に「控訴人にはバルサン被暴当時女子顔面黒皮症や食餌性アレルギーの基礎疾患はなかったから、右症状はバルサン被暴によって発症したものである。」を加える。

2  同一二枚目裏五行目(78頁1段8行目)から同一三枚目表一一行目末尾(78頁2段7行目)までを削除し、同一二行目の「三」(78頁2段8行目)を「二」と改める。

3  同枚目裏六行目の「(二)」(78頁2段17行目)を「(一)」と改める。

三  証拠関係は、原判決事実摘示のほか、当審記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する(略)。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は、いずれも失当として棄却すべきであると判断するが、その理由は次のとおり、改め、加え、削除するほか、原判決理由説示(ただし、原判決三五枚目裏一一行目(85頁1段17行目)から同六二枚目表八行目(93頁3段26行目)まで)と同一であるから、これを引用する。

1  同三五枚目裏一一行目の「二」(85頁1段17行目)を「一」と、同五四枚目裏末行目の「三」(91頁1段28行目)を「二」と改める。

2  同三七枚目表末行目の「第七四号証、」(85頁3段12行目の(証拠略))の次に「第七七号証(原本の存在とも)、第七八号証の一、二(前同、一部)、第七九ないし第八一号証の各一、二(原本の存在とも)、第八四号証(前同)、第八六号証(前同)、第九六号証の二の二、第一〇二号証の一、二(原本の存在とも)、」を、同枚目裏三行目の「被告会社」(85頁3段12行目の(証拠略))の前に「第六二、第六三号証」を、同末行目の「証」(85頁3段12行目の(証拠略))の次に「第一一三号証(一部)、」を加え、同三八枚目表八行目の鑑定の結果」(85頁3段12行目の(証拠略))を「鑑定人須貝哲郎の鑑定の結果」と改める。

3  同四一枚目裏一三行目の「ロコテレクリーム」(86頁4段6行目)を「ロコルテレクリーム」と、同四二枚目裏一行目の「注射(86頁4段29行目)を「治療方法」と改める。

4  同四三枚目表二行目の「同年」(87頁1段21行目)から同三行目の「得たが」(87頁1段23行目)までを「同年八月二二日同法に基づく療養費用の、同年九月一一日同法に基づく休業補償の各支給決定を得たが」と改め、同枚目表九行目の「原告」(87頁2段1行目)から同一一行目末尾(87頁2段5行目)までを削除する。

5  同四四枚目表五行目の「一一〇」(87頁3段5行目)を「一二〇」と、同六行目の「七」(87頁3段6行目)を「八」と、同八行目の「四二五」(87頁3段9行目)を「四四五」と、同行目の「二八」(87頁3段10行目)を「三〇」と、同一〇行目の「四七〇」(87頁3段12~13行目)を「五〇〇」と、同一一行目の「三九・二」(87頁3段13行目)を「四一・六」と改める。

6  同四五枚目裏末行目の「認められ、」(88頁1段17行目)の次に「前記甲第七八号証の一二、第一一三号証の記載及び」を、同四六枚目表]行目の「反する」(88頁1段19行目)の次に「記載及び」を加える。

7  同四六枚目裏一行目の「長期連用」(88頁2段9行目)の前に「以前に」を加え、同四七枚目表一行目の「部分が」(88頁2段31行目)から同二行目の「断定できない」(88頁3段1~2行目)までを「部分はバルサン被暴とは関係ないと推定されるが、断定はできない」と、同四八枚目裏二行目の「まったく」(89頁1段3行目)から同六行目末尾(89頁1段10行目)までを「全くなかったのであり、被控訴人西嶋において使用上の注意を控訴人に告げて、バルサンに添付された説明書(注意書きがある。)を渡したのであるから、控訴人において右の使用上の注意に留意し、点火して自室から退出する限り、寮の各室の構造、配置からして、控訴人がバルサンの煙を吸入し、あるいは大量の煙に被暴して皮膚炎を発症することを被控訴人ら西嶋ら寮員が認識することは困難であったというべきであるから、同被控訴人らが右のように三〇分余りをかけてバルサンを順次点火したことが直ちに同被控訴人らの過失であったとすることはできない。」と改め、同四九枚目裏五行目の「ほか」(89頁2段20行目)から同七行目の「していた」(89頁2段23~24行目)までを削除し、同五〇枚目表二行目の「短時間」(89頁3段6行目)を「少量」と改める。

8  同五一枚目裏四行目の「状態であるが」(90頁1段10行目)を「状態が続き、同年一一月頃には顔面は黒く変色したが」と、同五二枚目裏六行目の「あるから、」(90頁2段24行目)を「あり、また前記甲第八四号証(別件訴訟における平成元年一〇月三日付け証人西園泰久の証人調書)の供述記載によると、同医師はその後もバルサンの被暴と右症状との因果関係は分からないと証言していることに照らし」と、同五三枚目表一二行目の「部分が」(90頁3段24行目)から「断定できない」(90頁3段25行目)までを「部分はバルサン被暴とは関係ないと推定されるが、断定はできない」と、同裏七行目から同八行目にかけての「推測されるから、右各診断の結果に照らしても」(90頁4段6~7行目)を「推測されないではないが、右鑑定結果によると、控訴人の女子顔面黒皮症といわれる症状は、その発症の経過、症状からしてアレルギー性接触皮膚炎の所見に一致するから、バルサンに被暴したことによって罹患したものと推定されるし、食餌アレルギーについてはバルサン被暴とは関係ないものと推定されるが、断定できない、また控訴人に食餌アレルギーの体質があったかどうかについては、これを確定するに必要な各種の皮膚反応テストをしていないから断定できないというのであり」と、同五四枚目裏二行目から三行目にかけての「さ程の有害物とはいえないことなどが認められ」(91頁1段11~12行目)を「使用上の注意を守って使用する限り、人に対して毒性を与えるものではないと認識されていたというべきであり」と改め、同五行目から六行目にかけての「有毒性の乏しい」(91頁1段16行目)を削除する。

9  同五七枚目表三行目から四行目にかけての「同年九月」(91頁4段12行目)を「前記のとおり、同年八月から九月にかけて」と改め、同五行目の「(同年八月からのもの)」(91頁4段15行目)を削除し、同枚目裏一一行目の末尾(92頁1段17行目)のハ「されなかった。」の次に「右の支払額は労災法に基づく休業補償支給額を上回るものであった。」を加え、同五九枚目表五行目の「九月」(92頁3段11行目)を「同年八月から九月にかけて」と改め、同枚目裏一行目の「認められ」(92頁3段26~27行目)の次に「(五条)」を加え、同一二行目の「いること」(92頁4段14行目)の次に「のほか右規定による休業補償の内容が労働基準法の定める使用者の休業補償義務の内容を上回るものであること」を、同末行目「適用」(92頁4段15行目)の前に「全面的に」を加え、同六〇枚目裏九行目の「すぎないこと。以上の点」(93頁1段22行目)の次に「、さらに前記規定の一部適用による給与等の支給がなお労働基準法の定める休業補償義務の履行により支給すべき金額を上回っていることなど」を加える。

二  よって、原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鎌田泰輝 裁判官 川畑耕平 裁判官 簑田孝行)

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